セッティングの基本

f:id:care_drive:20210331132038j:plain


ナンバー付きワンメイクレースの車両は改造範囲が狭いので、他のレースと比べてイコールコンディションに近いです。同じ条件に近い状態で他と差を付ける為には、レース車両のセッティングがとても重要になります。車両のパワー差が少ないので、ストレートスピードはほとんど違いがありません。違いが出るのはコーナーリングスピードで、その為には足廻りのセッティングが最も重要になります。

足廻りのセッティングにはサスペンションのバネレートや減衰力、車高・アライメント・タイヤの空気圧などがあります。N-ONEオーナーズカップの場合は、指定された数種類のサスペンションの中から好みの物を選択して使用します。サスペンションのメーカーによってそれぞれ特性が違いますので、まずはどのメーカーを選ぶかがポイントとなります。メーカーによって10万円台の物から20万円台の物まで様々ありますので、予算を考慮しながら慎重に選ぶ必要があります。

サスペンションのメーカーは独自で何度もテストしておりますので、最初からN-ONEに合った状態で販売されております。スプリングは最初にメーカーがセットしたバネレートで十分ですが、リアに関しては好みで変更しても良いかと思います。減衰力はメーカーが推奨している値を基準にスタートし、フロントとリアどちらともプラス・マイナス調整します。メーカーがセットした減衰力はあくまでもスタンダード仕様なので、比較的軟らかめにセットされている場合が多いです。

レース車両の車高は出来るだけ低い方が有利ですので、車両規則の最低地上高10センチぎりぎりに調整します。ただしレース終了後のタイヤの減り方を考慮しなければなりませんので、多少は余裕をもってセッティングした方がベストです。車両の前後バランスとしては、フラットにするかリアを上げて前過重にするか二種類の選択になるかと思います。アライメントはフロントのみ調整が可能で、リアは調整が出来ない固定式です。フロントの調整はサスペンションのキャンバー角とタイヤのサイドスリップを考慮しながらセッティングします。

そしてサスペンションの次に重要なのがタイヤです。N-ONEオーナーズカップの場合は低燃費タイヤ(エコタイヤ)の使用が義務付けられております。タイヤのメーカーやブランドは自由に選択する事が可能です。タイヤのメーカーによってそれぞれ特性が違いますので、価格を含めて何を重要視して選択するかがポイントとなります。現状ではヨコハマ・アドバンユーザーが一番多く、参加者全体の約80%を占めております。残りの20%がブリヂストンダンロップグッドイヤーなどです。

エコタイヤは街乗りを重視したラジアルタイヤですので、乗り心地は良いですがサーキット走行には不向きなタイヤです。レースに不向きなタイヤでレースをするには、経験者にしか分からない意外なコツがあります。それはタイヤの空気圧を標準の倍くらいに上げる事です。エコタイヤは乗り心地を良くする為に、構造上タイヤの剛性が弱いです。タイヤの空気圧を高めにする事で剛性が強くなり、同時に接地面積が減る事により転がり抵抗が少なくなります。つまりタイヤの空気圧を高めにすると、ストレートもコーナーも両方とも有利になります。

N-ONEオーナーズカップは本格的なレースに比べると物足りなさはありますが、ナンバー付きワンメイクレースなりの奥深さや楽しさがあります。どのサーキットでも参加台数が多いので自分の実力が分かりやすく、努力すれば努力したなりに順位も上がります。チームやドライバーにとって成績は大切ですが、一番大切なのはレースの成績にこだわらず純粋にレースの雰囲気やバトルを楽しむ事だと思います。気軽に参加しやすいN-ONEオーナーズカップで、今後も多くの皆様にレースの醍醐味を味わって頂きたいと思っております。