ヴィッツレースに挑戦

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トヨタヴィッツレースは2000年にスタートした国内初のナンバー付き車両限定のレースです。車検付きの車両なので一般道も走行が可能で、そのまま自走でサーキットへ移動してレースに参加出来ます。従来のナンバー無しレース専用車両と比べて、誰でも気軽に参加する事が可能な低コストのレースです。ヴィッツレースの魅力は何と言っても移動が簡単な事です。レース専用車両は公道を走れないので、積載用のトラックに車両を積んで移動しなければなりません。積載車を用意してレース車両を移動したり、車両を積み下ろしする手間と時間がかなり大変でした。そして積載車を所有していない場合はレンタル費用も掛かってしまいます。レースとしてはレース専用車両の方が本格的で楽しいですが、車両の移動や費用の問題が一番の難点でした。

ナンバー付きレース車両は車検を有する車両なので改造範囲が狭く、レース用に改造する費用が比較的に安く済みます。しかしナンバー無し車両では必要がない車検費用自動車保険費用が掛かってしまいます。維持費を考えるとそれぞれメリット・デメリットがありますが、トータルで考えると改造範囲の狭いナンバー付きの方が確実に安くなります。この低コストがヴィッツレースのもう一つの魅力です。ただし改造範囲が狭いので、レース車両としてはストリート仕様に近いです。重量は比較的に重くて、足廻りは乗り心地を考慮したソフトな仕様です。使用するタイヤはレース用ではなく一般のラジアルタイヤです。つまり車両のポテンシャルが低く、サーキット走行には少し無理のある仕様なのです。

実際にサーキットを走行してみると違いが明らかで、レース専用車両と比べると全く別物でした。サーキット走行では重量と足廻りの違いは非常に大きく、ポテンシャルが低い車両を速く走らせる事はかなり難しいです。過去の経験もほとんど役に立たず、違和感を感じながらの走行が続きました。車両の違いによって乗り方もセッティングも全く違いました。順応性に乏しい私は慣れるまで時間が掛かってしまい、初年度は苦しい一年となりました。成績は頑張ってもトップ10にすら入れませんでした。やっとの思いで乗り方が分かってきたのは二年目に入ってからです。成績も何とかシングルに入れるようになり、一度だけ5位に入賞する事が出来ました。

どのカテゴリーでも奥が深いレースは非常に難しいスポーツです。車両の違いや足廻りの違い・タイヤの違いなどで乗り方やセッティングが変わってきます。ドライバーは与えられた条件で車の持つポテンシャルを最大限に引き出さなければなりません。上位を目指すにはより的確な判断力と理解力が必要とされます。そしてメカニックやエンジニアとのコミュニケーションも必要になります。細かな情報をお互いに共有しながら、チーム全体で良い方向に導く事が重要です。最初はナンバー付きレースに対して少し抵抗がありましたが、想像しなかった新たな発見や収穫が沢山ありました。結果的に様々な勉強が出来たので、ヴィッツレースに参戦して良かったと思っております。