介護タクシーの業務内容

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介護タクシーを利用される方は子供から高齢者まで様々です。何らかの病気や障害によって移動が困難な方々が利用されます。移動方法も病気や障害の内容によってそれぞれ違います。中には自力歩行可能な方もおりますが、全体の約8割が車椅子での移動です。ストレッチャーで寝たまま移動する重症者は比較的に少なめです。そこで過去の経験から具体的にどの様な方々が利用されているのか整理してみます。

1.特別支援学校への送迎

身体障害や知的障害などを抱えた子供達の通学を支援します。朝7時半から8時半の間に自宅から学校へ送り、14時半から15時半頃に学校へ迎えに行き自宅まで送ります。曜日は基本的に月曜日から金曜日で、土日祝日と春休み・夏休み・冬休みの期間は学校が休みとなります。近年では両親共働きなどの事情により家族での送迎が難しくなっており、介護タクシーの必要性が高まっております。子供達が頑張っている姿に励まされ、逆に元気や勇気をもらう事もあります。家族同様に接する事が出来るので、子供達の努力や成長を感じる事も多いです。障害の状態によっては会話が出来ない子供がおりますので、専門的なコミュニケーション技術が必要となります。

2.人工透析患者の送迎

腎臓疾患により定期的に人工透析を受ける方々の通院を支援します。朝9時から10時の間に自宅から病院へ送り、14時から16時頃に病院へ迎えに行き自宅まで送ります。ほとんどの方が週3回の透析で、中には週2回の方もおります。透析時間は個々に違いますが、3時間から5時間くらいが多いです。透析は決められた日時に必ず受けなければならないので、皆さんとても大変な生活をされております。気分や体調が悪い時は病院を休みたい日もあるかと思います。ゴールデンウイークやお盆・お正月も関係なく通院しなければなりません。透析はベッドに横になって休みながら受けますが、心臓にかなりの負担が掛かります。透析後は疲れ切った状態になりますので、対応には細心の注意が必要となります。

3.通所施設への送迎

介護福祉施設でデイサービスやデイケアを受ける方々の送迎を支援します。朝8時半から9時半の間に自宅から施設へ送り、15時半から16時半頃に施設へ迎えに行き自宅まで送ります。施設へ通う回数は個々に違いますが、入浴を目的として週に2回が多いです。施設では健康チェックをした後に午前中は入浴をして休憩となります。昼食を終えて午後からはレクリエーションやリハビリをしてオヤツ休憩となります。病院とは違って、施設での有意義な生活を皆さん楽しみにされています。介護タクシー送迎時の短い時間も出来るだけ楽しんでもらえるように、対応には配慮や工夫が必要となります。

4.医療機関への送迎

病院への定期的な外来通院や入院・退院での送迎を支援します。外来通院は朝8時半から9時半の間に病院へ行きたいと希望される方が多いです。どうしてもこの時間帯に集中してしまうので、時間調整が出来ない場合はお断りしなければなりません。病院へ行く時間は予約により決められますが、受診後の帰りの時間は事前に決められません。したがって診察が終わり次第で連絡を頂き、その時の状況に合わせて対応する事になります。もし他のお客様と重なってしまった場合は、優先順位で順番を決めて数十分ほど待って頂く事もあります。初回では全く予測が出来ませんが、何度か利用されている方はある程度予測が出来ます。予測が外れる事もよくありますが、病院や患者によって診察時間がどれくらい掛かるか把握しておく事がポイントです。入退院の場合は比較的に時間が限られます。午前は9時半から10時半の間で、午後は13時から15時の間が多いです。そして外来通院と入退院のどちらの送迎も、ストレッチャーでの送迎が比較的に多いです。病院の場合は緊急を要する場合もありますので、送迎方法や介助方法など適切な対応が必要となります。

5.その他の送迎

学校・病院・施設以外での送迎は主に買い物や外食が多いです。付添い者がいる場合は送迎のみですが、付添い者がいない場合は付添いも行います。買い物のお手伝いをしたり食事やトイレの介助をします。介助の内容や方法は個々に違いますので、専門的な知識や技術が必要となります。特に長時間の移動や付添いの場合は、お客様の体調にも気を付けなければなりません。もし体調が悪くなった場合は、ご家族や病院・施設の担当者に連絡して指示を受ける必要があります。場合によっては近くの病院へ移送する必要もあります。他には件数としては比較的に少ないですが、冠婚葬祭や映画・コンサート・イベント・スポーツ・趣味活動など様々な送迎があります。病気を抱えていたり障害者や高齢者であっても移動の目的は健常者と同じです。相手の立場に立って相手の気持ちを理解する思いやりが大切です。

昨年より新型コロナウイルスの影響で介護タクシー業界も厳しい状況です。外出を制限されておりますので移動する機会が少なくなり、介護タクシーを利用する機会も同時に少なくなります。学校・病院・施設以外への利用はほぼゼロになりました。ワクチン接種が開始されてウイルス感染の収束が期待されますが、まだ先が見えない状況が続いております。普通の生活が出来るよう一日も早い収束を願っております。